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ヘルスケア最新情報TOPIX「介護編」 2023.12月号


「2024年度介護報酬改定の方向性・論点の整理」

 今月号では、2024年度介護報酬改定に向けた審議内容を踏まえ、「Ⅰ.2024年度改定の方向性を示す4つの視点」を整理し、「Ⅱ.2024年度改定のトピックスと論点の整理」について確認していきます。本編の内容は、現時点で未確定ではあるものの、具体的な加算名などが挙げられた各サービスの論点を整理していますので、改定に向けた準備として参考にしていただけます。なお、2024年度改定は診療報酬が6月施行となり、介護報酬もこれに合わせるか、現行通りの4月施行とするかは審議中であり、施行時期についても注視していく必要があります。

【確認keyword】
「改定の方向性を示す4つの視点」 「施設サービスと協力医療機関の体制づくり強化」「DX推進と医介連携の強化」 「新たな複合型サービスの人員・運営基準や報酬体系」

[Ⅰ]2024年度改定の方向性を示す4つの視点

 2024年度介護報酬改定の骨子となる基本方針は12月中に正式に決定されますが、現時点の案として「①地域包括ケアシステムの深化・推進」「②自立支援・重度化防止に向けた対応」「③良質な介護サービスの確保に向けた働きやすい職場づくり」「④制度の安定性・持続可能性の確保」の4つの視点が列挙されています(下図)。4つの案は、前回改定の基本的な視点のうち「感染症や災害への対応力強化」が①に組み込まれ、③が「介護人材の確保・介護現場の革新」から文言が修正されただけで内容はほぼ変わらないため、2024年度改定は前回改定を踏襲したメンテナンス改定になることは確定的だといえます。

 全体に関わる面では、「処遇改善」の3種類の加算を一本化して新加算を創設し、新旧加算を選択できる一定の移行期間の設定が検討され、介護現場の定着と徹底を図る見直しが行われます。また「報酬体系の簡素化」として検討される加算の基本報酬への包括化および廃止は、総じて収入減につながる可能性があるため留意しなければなりません。

[II]2024年度改定のトピックスと論点の整理

■ 施設サービス全般・医療機関との連携強化に係る改定の方向性

 施設サービス全般では、要介護高齢者が住み慣れた場所で生活が継続できるよう、急変対応や医療的ケアはもとより、医介連携の強化として自施設での医療提供が困難な場合の「協力医療機関」との体制づくり、ターミナルケアや看取りの評価などが重点化され、医療機関との顔の見える関係づくりが今後の取り組みの重要ポイントになります。

■ 居宅介護支援・居宅サービスに係る改定の方向性

 居宅介護支援と居宅サービスでは、質の向上や業務負担の軽減に係るLIFEやケアプランデータ連携システムなどDX推進に対する評価が着目すべきポイントになります。この他、診療報酬との同時改定であるため、医介連携の強化に関する見直しをはじめ、医療系サービスにおける診療報酬との整合性や専門性の評価に注視していく必要があります。

■ 新たな複合型サービス・地域密着型サービスに係る改定の方向性

 2024年度改定で関心が寄せられる「訪問介護と通所介護を組み合わせた新たな複合型サービス」は、現行の訪問介護と通所介護の人員・運営基準を引き継ぎながら、居宅ケアマネのケアプランに基づくサービス提供で、報酬は包括払いとなる方向性が固まってきました。参入事業者は、現行の訪問介護と通所介護の併設事業所が大半になると見込まれ、今後の審議の着目点としては、基本報酬の設定をはじめ、現存の訪問介護と通所介護との併設やその指定がどうなるかが参入を決定づける確認ポイントになります。

 他方、類似する小多機では認知症対応の強化、看多機においては利用が少ない「泊まり」サービスの取扱いやその報酬(請求)を柔軟化させる方向で審議が進められています。なお、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、2027年度に夜間対応型訪問介護との統合を見据えた見直しが行われ、集約に向けた準備が進められていきます。

▼今月号の考察

 今回は、2024年度介護報酬改定に向けた審議内容をもとに、改定のトピックスと論点を整理しました。連携に欠かせない情報共有の基盤整備となる介護DXの推進では、介護事業者はシステム対応とともに、事業所間の顔の見える関係づくりがより一層重要になってきた点にも留意していかなければなりません。以上、改定の最新動向としてご参考にして頂ければ幸いです。

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