ヘルスケア最新情報TOPIX「介護編」2026.01月号
2026年度臨時改定へ繋ぐ処遇改善のステップと全体像
今月号では、2025年12月公表の「介護分野における医療・介護等支援パッケージ及び重点支援地方交付金の活用について(介護保険最新情報vol.1448)」と、「2026年度介護報酬改定に関する審議報告」をもとに、「Ⅰ.賃上げ処遇改善のバトンリレー支援の全体像」を確認し、「Ⅱ.賃上げ以外の基盤強化に向けた支援のポイント」を整理していきます。今回の重点支援は、従来の介護職員の枠を超え、介護従事者を含む全職種の処遇改善を定着させる画期的な見直しであり、経営戦略の大きな転換点となります。新たな機運に乗って介護経営を再考していくことが肝要です。
【確認keyword】
「介護従事者を含む全職種への処遇改善に変革」「重点支援地方交付金と医療介護等支援パッケージの併用可」「2026年度臨時改定改定率+2.03%」「処遇改善以外の支援も充実」
[Ⅰ]賃上げ処遇改善のバトンリレー支援の全体像
■ 3段階のバトンリレー方式による支援の全体像
介護分野への支援策は、【緊急・強化・恒久】の3つの段階のバトンリレー方式により、途切れなく推進されます(下図)。まず、「【緊急】重点支援地方交付金」は、都道府県が主体となり、物価高騰分と賃上げ分の両面をカバーします。この交付金を活用して経営の足元を固めることが先決です。次に「【強化】医療・介護等支援パッケージ」では、2026年度臨時改定までの「つなぎ支援」として、賃上げ相当額(2026年5月分まで)を支給しつつ、同時に「介護テクノロジー導入・協働化」や「サービス継続支援」など、将来に向けた基盤強化を支援します。最後に「【恒久】2026年度介護報酬臨時改定」により、処遇改善加算の単位・加算率の上乗せ等を通じて基盤固めを行います。これら3段階の支援を活用し、目先の経営安定化だけでなく、盤石な経営基盤を築いていきましょう。

■ 「重点支援地方交付金」のチェック事項
「重点支援地方交付金」は、国から直接事業者に支払われる「医療・介護等支援パッケージ」と異なり、都道府県を経由する交付金です。したがって、交付金を受給するには、具体的な申請時期、申請方法、単価(金額)に関して、各都道府県が公表する交付要綱などをしっかり確認して申請する必要があります。この交付金は、事業者の経営実態を把握するために、給与明細・支払明細(給与規程、賃金台帳、請求書、領収書など)の提出または保管が求められる可能性があります。改めて準備や作成を要する労務・財務の書類ではありませんが、漏れがないか等々、事前にチェックしておくことが大切です。

■ 「賃上げ・職場環境改善支援事業」パッケージ【ア】」のチェック事項
「賃上げ・職場環境改善支援事業」は、2026年6月施行の臨時改定における賃上げの上乗せに連動した支援金です。臨時改定までの「2025年12月~2026年5月の賃上げ相当額」を支給する「つなぎ支援」としての役割があります。支援金を受給するには、具体的な申請時期、申請方法に関して、厚生労働省が公表する実施要領などをしっかり確認する必要があります。なお、今回の臨時改定において新たに対象となる訪問看護や訪問リハビリテーション、居宅介護支援等の事業者は、これまで処遇改善の申請経験がないケースも多いはずです。すでに加算を取得している他事業所の実例(計画書の作成や改善報告のエッセンス)を参考に、準備を進めることが受給に向けた対策になります。

■ 「2026年度愛護報酬臨時改定」のチェック事項
臨時改定による処遇改善加算の見直しは、 「対象範囲の拡大:予防含む訪問看護、訪問リハ、居宅介護支援(新たな対象に介護職員以外の介護従事者を追加)」と「要件の新設:ケアプランデータ連携システムや生産性向上推進体制加算との連動による加算Ⅰ及びⅡの加算率に上乗せ設定」が実施となる予定です(下図)。この他、臨時改定では、食材料費への緊急対応として、施設系サービスの食費の基準費用額も見直しとなります。


[II]賃上げ以外の基盤強化に向けた支援のポイント
■ 介護サービスを円滑に継続するための支援
「重点支援地方交付金」と「医療・介護等支援パッケージ」の併用、ならびに「医療・介護等支援パッケージ」内の各事業【ア~エ】の複数併用も可能であり、「賃上げ」と「経営の効率化・基盤強化」を同時に達成することを目的として設計されています。
「サービス継続支援事業:パッケージ【イ】」は、介護事業所・施設の経営状況の改善に向けて、介護サービスに特化したきめ細かい緊急的な継続支援です。各サービスの性質や事業所規模等を踏まえた支援として、移動経費に加えて、気候変動に伴う猛暑等や災害などのリスクへの対策(避難先としての備蓄)を含めて、サービス提供の継続に対する補助を目的としています(下図)。そして、施設系サービスに対し、臨時改定による食費の基準費用額引き上げに連動した、食料品等の購入費等に対する補助も行います。

■ 介護分野における生産性向上等に対する支援
「介護テクノロジー導入・協働化・経営改善等支援事業:パッケージ【ウ】」は、介護現場の生産性向上の取組や経営の協働化等のテクノロジー導入支援、これらの支援を行う都道府県相談窓口等の機能強化、伴走支援の充実に対する重点化が盛り込まれています。

■ 訪問介護員やケアマネジャーなど介護従事者の確保等支援
「訪問介護等サービス提供体制確保支援事業:パッケージ【エ】」では、長引く人手不足や燃料代の高騰などにより、厳しい状況にある訪問介護等サービスに対し、都道府県・市区町村が事業所の規模・形態や地域の実情に応じた最適な支援策を柔軟に実施できるよう、訪問介護等サービス提供体制の確保に向けた総合対策が行われます。

「地域のケアマネジメント提供体制確保支援事業:パッケージ【エ】」は、質の高いケアマネジメントを実現する観点から、ケアマネジャーがケアマネジメント業務に注力できるよう、業務負担を軽減しつつ、なり手を確保していくことを目的とした事業です。

▼今月号の考察
今回は、重点支援地方交付金及び医療・介護等支援パッケージ、2026年度臨時改定における賃上げ処遇改善のバトンリレー支援の全体像を整理しつつ、医療・介護等支援パッケージにおける賃上げ以外の基盤強化に向けた支援のポイントを確認しました。 3段階の支援はいずれも各位による申請が必要です。支援の活用に向けた情報整理として、お役立ていただければ幸いです。
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