ヘルスケア最新情報TOPIX「介護編」2026.02月号
補助金受給に備えたポイント整理とタスク管理
今月号では、2026年1月に介護保険最新情報において周知された「賃上げ・職場環境改善支援(vol.1460、vol.1462)」と「サービス継続支援(vol.1461)」に関する内容をもとに、「Ⅰ.処遇改善支援の活用ポイント」と「Ⅱ.サービス継続支援事業の概要」を整理していきます。
今回の処遇改善に対する重点支援は、従来の介護職員の枠を超え、介護従事者を含む全職種の処遇改善を定着させる画期的な見直しであり、管理者と職員が一体的に取り組んでいくことが重要です。ご不明な点は厚労省コールセンター(050-3733-0222)を活用して確認していきましょう。
【確認keyword】
「介護従事者を含む全職種への処遇改善」「処遇改善の支援は途切れなく推進」「補助金受給に向けたポイント整理とタスク管理」「ケアプランデータ連携システムの推進理由と導入支援」
[Ⅰ]処遇改善支援の活用ポイント
■ バトンリレー方式による処遇改善支援の全体像
介護分野への処遇改善に対する支援策は、【緊急・強化・恒久】のバトンリレー方式により、途切れなく推進されます(下図)。「【緊急】重点支援地方交付金」では都道府県が主体となり、物価高騰分と賃上げ分の両面をカバーします。次に「【強化】医療・介護等支援パッケージ」では、2026年度臨時改定までのつなぎ支援として、賃上げ相当額(2026年5月分まで)を支給しつつ、同時に「サービス継続支援」や「介護テクノロジー導入・協働化」など、将来に向けた基盤強化を支援します。そして「【恒久】2026年度介護報酬臨時改定」により処遇改善加算の単位・加算率の上乗せ等を通じて基盤固めを行います。
本編では、詳細が明らかになった「【強化】臨時改定までのつなぎ支援」における「賃上げ・職場環境改善支援」と「サービス継続支援」のポイントを確認していきます。

■ 「賃上げ・職場環境改善支援事業:パッケージ【ア】」の活用ポイント
「賃上げ・職場環境改善支援事業」における補助金を受給するには、介護職員の賃上げの実施、職場環境の改善、およびケアプランデータ連携システムの加入などデジタル化への対応が必要です。賃上げの実施においては、単発ではなく、2026年6月施行の臨時改定における賃上げの上乗せに連動し、臨時改定まで支給するつなぎ支援としての役割があります。注目すべきは、これまでの処遇改善の対象者のみならず、すべてのサービスと職種に拡大された点であり、追加された職種への対応を検討することが必要です。

補助金は、既存の処遇改善加算の対象サービスは「加算の上乗せ」、ケアマネジャーや訪問看護などの新規対象サービスにとっては「加算に代わる新しい支援」という位置づけになります。処遇改善のみならず、デジタル化や生産性向上の取り組みを加速させていくために、ポイントや注意点を確認し、申請に向けたタスクを管理していきましょう。
<補助金受給に備えたポイント整理>
①【1.0万円】賃上げと処遇改善の実施
【賃金改善の時期】
臨時改定までの「2025年12月~2026年5月の賃上げ相当額」を受給するには、補助金の支給時期に応じ、2025年12月から実績報告書の提出期限まで(または2026年3月末まで)の間に賃金改善を行う必要があります。
②【0.5万円】デジタル化・生産性向上への取り組み(賃上げ支援の上乗せ要件)
【ケアプランデータ連携システムへの加入】
訪問・通所サービス等の事業所は、本システムに加入していること、または申請時に加入を誓約することが必要です。
【生産性向上推進体制加算の取得】
施設系や居住系サービス等の事業所は、「生産性向上推進体制加算IまたはII」を取得(または見込み)していることが求められます。
【業務体制の構築】
すべての介護施設・介護事業所が関わる「介護情報基盤」の構築を見据え、ケアプランデータ連携システムの利用を前提とした連携先づくり、介護施設におけるシステムを活用した業務体制の整備が求められています。
③【0.4万円】職場環境改善への取り組み
【現場の課題の見える化と役割分担】
介護職員等の業務の洗い出しや棚卸しを行い、課題を明確にすることが求められます。業務改善のための生産性向上委員会などの設置や、介護助手等の活用による適切な役割分担の推進が必要です。
【職場環境改善枠の柔軟性】
対象となる経費は「職員の身体的・精神的負担を物理的に減らすもの」であれば幅広く活用できます。ただし、機器購入は対象外となっています。

■ ケアプランデータ連携システムの推進理由と導入支援
ケアプランデータ連携システムは、訪問・通所系が関与する「賃上げ支援の上乗せ(0.5万円)」に直結します。そして、並行して進められている介護情報基盤の構築に向けた「カードリーダーの導入支援」も関与しています。ケアプランデータ連携システムの「フリーパスキャンペーン」と「カードリーダーの購入と接続サポートの助成金」を一体的に活用するには、導入支援事業者がまとめてサポートができるかが鍵を握ります。
ケアプランデータ連携システムは、居宅介護支援事業所と居宅サービス事業所とのケアプランのやりとりをオンラインで完結する仕組みです。事業所間で毎月やり取りされる居宅サービス計画書・利用票(予定・実績)等について、文書作成に要する負担軽減のみならず、運用面でも異なるベンダー間のデータ連携が可能となります(下図)。

「ケアプランデータ連携システム」の導入を推進する理由は、全国医療情報プラットフォームの「介護情報基盤」の一翼を成すからです。システム標準化が完了した市町村から2026年4月にデータ送信の開始が予定され、すべての市町村での活用開始は2028年4月1日までを目指しています。「介護情報基盤」の構築には「カードリーダーの導入」が不可欠であり、その導入支援が今回の「カードリーダーの購入と接続サポートの助成金」となります(下図)。助成金は2025年10月から申請受付を開始し、申請期限は3月13日(予定)と設定されています。なお、システムの導入や維持に係る費用は、生産性向上と介護DX対応に欠かせない投資と経営判断していくことが重要であり、運用・費用面に不明な点があれば、導入支援事業者に確認して準備を進めていきましょう。

[II]サービス継続支援事業の概要
「サービス継続支援事業:パッケージ【イ】」は、経営状況の改善に向けたきめ細かい緊急的な継続支援です(下図)。施設系サービスに対しては、臨時改定による食費の基準費用額引き上げに連動した食料品等の購入費等の補助も行われます。受給に向けた準備では、他の補助金で既に請求した経費は重複できないため、仕訳管理を徹底し、経費計上できる期間(補助金の申請期限は各都道府県が設定)を確認していく必要があります。

▼今月号の考察
今回は、臨時改定までのつなぎ支援として推進されている「賃上げ・職場環境改善支援」と「サービス継続支援」のポイントを確認しました。各種支援を活用するには各位の申請が原則です。様々な要件の確認をはじめ期限厳守で対応していくには、管理者と職員の協力が欠かせません。以上、処遇改善や運営面に関わる最新情報として、少しでもお役立ていただければ幸いです。
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